休耕田に囲まれた小さな田んぼを任されて、都会育ちのゆっこちゃんが草を刈っている。
稲を育てる、と一言で言うけど、田んぼに水をため続けて、稲に気持ちよく育ってもらうのは本当に大変だ。時々土手にモグラの穴があいて、水が抜けてしまったり。思いもかけないことが起こる。鹿もイノシシも来る虫も来る、大雨も降る。何より草がどんどん伸びる。
自然が相手。自分の思うようにはならない。
見つめる。考える。稲に聞く。考える。やってみる。失敗する。そして学ぶ。
初めてのことばかり。「なんじゃあ、こりゃ!何見てんの!」と情け容赦なく、鬼店長が叫ぶ。マケルナゆっこ!
今に稲が「水が冷たいよ~」とか「草とって」とか言っているのが聞こえるようになるから。自分が田んぼの中で、稲の一株に、虫一匹になってゆくような気がするような日が来るから。